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人事制度の全体像を5回で解説。第2回:なぜ等級基準が人事制度の中心になるのか。その重要性と考え方

はじめに

「評価制度を見直したいのですが、どこから手をつければいいかわからない」「制度はあるのに、なぜか現場で機能していない」——こうした相談を持ちかけてくださる経営者・人事担当者の方は、非常に多くいらっしゃいます。

前回の第1回では、人事制度をつくる・機能させるうえで、まず最初に整えるべき「人事ポリシー」についてお伝えしました。社員の「なぜ?」を突き詰めていくと、多くの場合「等級基準」にたどり着く。そしてさらに「なぜこの等級基準なのか?」と問われたとき、答えられるのが人事ポリシーだ——という話をしました。

今回の第2回では、その「等級基準」にフォーカスします。等級基準とは何か、なぜ人事制度の中心軸になるのか、そして等級基準がない・または形骸化している組織に何が起きるのか。支援現場でのリアルな事例も交えながら、丁寧に解説していきます。

この記事を読むと、次の3つのことがわかります。①等級基準がどのような構造で成り立っているか。②社員の「なぜ?」がすべて等級基準にたどり着く理由。③等級基準が機能していない組織で何が起き、どう変えればよいか。


等級基準とは何か?

人事ポリシー・等級フレーム・等級基準——3層構造で成り立っている

等級基準を正しく理解するためには、まず「人事ポリシー」「等級フレーム」「等級基準」という3つの要素が、それぞれどのような役割を持ち、どのような順番でつながっているかを理解することが大切です。

最も土台にあるのが「人事ポリシー」です。第1回で詳しくお伝えしたとおり、人事ポリシーとは「会社が社員に求める姿勢・価値観・考え方・行動を言語化したもの」です。全社員に共通して求める、あるべき姿・なってほしい姿を言葉にしたものであり、すべての人事制度の根拠となる最も土台の要素です。

その人事ポリシーをもとに設計されるのが「等級フレーム」です。等級フレームとは、人事ポリシーに掲げた求める人物像に近づけるよう、社員の経験・能力・役割によってレベル分けをした枠組みです。「1等級=係員」「2等級=リーダー」「3等級=主任」「4等級=係長」「5等級=課長」「6等級=部長」といった形で、各等級の役職名と役割の概要を整理したものがこれにあたります。これは「概要設計」であり、各等級がどのような立場・責任を担うかをざっくりと示したものです。

そしてその等級フレームをもとに、各等級で具体的に何が求められるかを詳細に落とし込んだものが「等級基準」です。等級フレームで定めた役割の概要を、実際の行動・能力・責任として具体的な言葉で明文化したもの——これが等級基準の本体です。これは「詳細設計」であり、この詳細があって初めて評価・給与・育成のすべての判断基準が生まれます。

この3層構造を理解することが、等級基準を正しく機能させるための第一歩です。

等級基準は「人事ポリシーを具体化したもの」

第1回でお伝えしたとおり、人事ポリシーには4つの種類があります。なかでも「③人や組織への価値観」と「④社員に期待する行動」は、等級基準の内容に直結するものです。

「この会社ではどういう行動・姿勢を持った人材を求めるのか」という人事ポリシーの問いに対する答えが、等級基準として具体的な能力・行動基準に落とし込まれます。つまり等級基準は、人事ポリシーという会社の価値観・考え方を、実際の等級ごとの行動・能力として可視化したものです。

裏を返せば、人事ポリシーがなければ等級基準はつくれません。「なぜこの等級ではこの行動が求められるのか」という問いに答えられる根拠が、人事ポリシーだからです。等級基準の設計に着手する前に、必ず人事ポリシーを整えることが必要な理由はここにあります。

「保有能力」と「発揮能力」——等級基準が定める2つの側面

等級基準を理解するうえで、もう一つ重要な概念があります。それが「保有能力」と「発揮能力」という2つの側面です。

等級基準で規定される内容は、「その等級にいる社員が当然保有しているはずの能力・役割」という前提に立っています。これを「保有能力」と呼びます。4等級(係長)にいるということは、4等級の等級基準に記載されている能力を保有し、役割を担っているということを意味します。等級そのものが、その社員の能力・役割の水準を示す証明となるわけです。

しかし、実際にその能力を保有しているかどうかは、行動からしか判断することができません。頭の中で理解しているだけでは、保有しているとは言えません。実際の業務の中でその能力が行動として現れているかどうか——これを「発揮能力」と呼び、評価制度によって評価されます。

つまり、等級基準は「この等級の社員はこれを保有しているはず(保有能力)」を定義し、評価制度は「実際にそれが発揮されているか(発揮能力)」を確認する仕組みです。この2つがセットになることで、等級基準と評価制度は有機的につながります。等級基準が評価制度の土台であり、屋台骨である理由は、まさにここにあります。


社員の「なぜ?」は、すべて等級基準にたどり着く

「なぜ給与が違うのか」への答え

「なぜ、同じ部署なのに給与に差があるのですか?」——これは、多くの組織で社員から上がる典型的な疑問の一つです。

この問いへの答えは明確です。同じ部署であっても、任されている仕事の範囲や責任の重さ、会社が期待している役割・能力の水準が人によって異なるからです。そしてその違いを整理しているのが等級基準であり、給与はこの等級基準をもとに設定されています。

つまり、給与の差は「個人の貢献度や役割の重さ」を反映したものであり、部署内の好き嫌いや恣意的な判断で決まるものではありません。同じ職種であっても、より広い範囲の業務を担っている人、より高い水準の判断や能力が求められている人は、等級が高くなり、その結果として給与にも差が生じます。

等級基準という共通の軸があることで、「なぜあの人と給与が違うのか」という問いに対して、会社は根拠を持って説明することができます。等級基準は、給与の納得感を生み出すための最も重要な根拠なのです。

「なぜ評価シートが違うのか」への答え

「なぜ、同じ職種なのに評価シートの項目が人によって違うのですか?」——これも現場でよく聞かれる疑問です。

評価シートは、等級基準の内容に沿って作られています。等級基準では「その等級で保有しているはずの能力」が定められており、評価シートはその能力が実際の業務の中で発揮されているかを確認するためのツールです。

たとえば4等級(係長)の評価シートには、「報・連・相」「共感力」「進捗管理」「標準化・平準化」「目標設定・計画立案」「業務委任」といった項目が並びます。これらはすべて、4等級の等級基準で求められる能力・行動から直接導き出されたものです。等級が違えば求められる役割・能力の水準が異なるため、評価シートの項目も自然と変わります。

評価シートの違いは「不公平」なのではありません。役割の違いを正しく反映した「適切な差」です。この説明ができるようになるのも、等級基準が整っているからこそです。

「なぜ同じ成果でも評価が違うのか」への答え

「同じ成果を出したのに、なぜ評価が違うのですか?」——この疑問は、等級基準の本質を理解するうえで非常に重要な問いです。

評価は「成果そのもの」だけを見るのではありません。「その成果を、どのレベルの役割・責任・能力が求められる立場で出したのか」を踏まえて判断します。等級ごとに期待されている役割・能力・成果の重さが違うため、同じ成果でも評価が異なることがあります。

たとえば、入社1年目の社員と入社10年目の社員が同じ成果を出した場合、10年目の社員は「その等級で本来求められている成果水準」を満たしていない可能性があります。一方で、1年目の社員は「期待を上回った成果」として高く評価されることがあります。

つまり、評価は「成果の大きさ」だけでなく「その成果が、期待されている役割・能力の水準に対してどうか」をもとに判断されます。この視点が成り立つのも、等級基準によって「各等級に何が期待されているか」が明確になっているからです。

「なぜ昇格できないのか」への答え

「頑張っているのに、なぜ昇格できないのですか?」——これは、社員にとって最も切実な疑問の一つです。

昇格の判断は、評価点だけで決まるものではありません。「現在の等級で求められている内容を十分に満たしているか(卒業基準)」と「次の等級で求められる役割・能力を担える状態にあるか(入学基準)」の両面から判断されます。その判断の基準となっているのが等級基準です。

昇格に至らなかった場合は、「基準に照らしたときに必要な要素がまだ十分に発揮されていない」という判断が背景にあります。これを等級基準という共通の言葉で説明できることが、社員の納得感につながります。逆に言えば、等級基準がなければ「なぜ昇格できないのか」という問いに対して、会社は明確な根拠を示すことができません。

このように、社員が日常的に感じる「なぜ?」のほぼすべては、等級基準を参照することで答えることができます。等級基準こそが、人事制度全体の中心軸である理由はここにあります。


等級基準がない会社・形骸化している会社に何が起きるのか

制度改定の支援で見えてきたリアル——等級基準はほぼ100%活かせていない

人事制度の改定支援に入ると、ほぼ100%の確率で直面することがあります。それは「等級基準が活かせていない」という実態です。

制度としては存在している。等級という名前もついている。しかし等級基準の内容が社員・管理職に正しく理解されておらず、あるいは評価制度と紐づいていないまま、運用だけが慣習として続いている——こうした状態が、支援現場では当たり前のように見られます。

問題は「途中から使われなくなった」のではありません。制度をつくった時点から、そもそも等級基準が正しく理解されていない、または評価制度とリンクしていないという状態が続いているのです。「書類としては存在するが、現場では一度も機能したことがない」というケースも少なくありません。このような実態がある以上、等級基準を整備・再整備することの重要性は、どれだけ強調しても足りないと言えます。

なぜ形骸化するのか——「評価の手順」は伝わっても「判断の基準」が共有されていない

等級基準が形骸化する最も根本的な原因は、「評価の手順は伝わっていても、判断の基準が共有されていない」という状況にあります。

多くの会社では、評価制度を導入する際に「評価シートの記入方法」や「評価面談の進め方」といった手順は丁寧に伝えられます。しかし「その評価シートの各項目が、どの等級基準に基づいているのか」「何ができていれば何点なのか」という判断の基準——すなわち等級基準そのもの——が、評価者である管理職に十分に共有されていないケースが非常に多いのです。

その結果、評価者は等級基準を参照せずに評価シートだけで判断するようになります。判断の根拠がなければ、評価者自身の価値観や経験・主観によって評価が変わってしまいます。「なぜこの点数なのか」を説明できない評価が積み重なることで、制度は徐々に「形だけのもの」になっていきます。

等級基準を機能させる運用の要は、評価者全員が等級基準を共通の判断基準として理解し、評価のたびに参照することです。この習慣がなければ、どれだけ精緻な等級基準をつくっても、やがて形骸化の道をたどることになります。

形骸化・基準なき制度が組織にもたらす4つの弊害

等級基準がない、または形骸化している状態が続くと、組織には大きく4つの弊害が生まれます。

① 評価が「上司の印象」で決まってしまう

等級基準という共通の判断軸がなければ、評価は必然的に評価者個人の印象・主観に頼ることになります。同じ行動・同じ成果であっても、どの上司が評価するかによって結果が変わる。「あの上司の下についたかどうかで評価が変わる」という不公平感が現場に広がり、制度への不信感が蓄積されていきます。評価シートは存在するものの、上司ごとに評価の考え方が異なるため、制度は形骸化していきます。

②「なぜ?」に答えられない組織になる

等級基準がなければ、社員の「なぜ?」に答えることができません。「なぜ給与がこの金額なのか」「なぜ昇格できなかったのか」「なぜ自分の目標はこの内容なのか」——これらすべての問いに対して、会社は根拠を持って答えられなくなります。説明ができなければ、社員は「なんとなく決まっている」「上の人の好き嫌いで決まっている」と感じます。こうした不信感は一度蓄積されると、制度の見直しだけでは簡単には払拭できません。

③「なぜ?」に答えられないから、適切なフィードバックができない

等級基準がなければ、評価結果を被評価者に納得させることができません。具体的には、次の問いに答えられなくなります。「今の等級で求められていることに対して、自分は現状どの程度できているのか」「次の等級に昇格するために、何をどのように改善すればよいのか」「なぜ自分の評価点はこの点数なのか」——これらはどれも、被評価者が評価面談で当然知りたいと思う問いです。しかし等級基準という判断の根拠がなければ、評価者はこれらに明確に答えることができません。

根拠のないフィードバックは、被評価者の行動変容につながりません。「もっと頑張ってほしい」「主体的に動いてほしい」という抽象的な言葉しか伝えられない状態では、被評価者は何をどう変えればよいかが理解できないまま次の評価期間を迎えることになります。特に点数が低かった社員に対して根拠を示せなければ、納得感が得られないどころか不満・不信感の蓄積につながります。

さらに、等級基準が共有されていない状態では「評価エラー」も起きやすくなります。判断の根拠が曖昧なため、評価者は無意識のうちに極端な評価を避けようとします。その結果、評価が中心に固まる「中心化傾向」が生まれ、社員間の評価にメリハリがなくなり、制度としての機能をさらに失っていきます。

④ 優秀な人から辞めていく

「何を頑張れば報われるのか」が見えない組織では、成長意欲の高い社員ほど将来が描けず、離れていきます。等級基準がなければ「次のステージに進むために何をすべきか」という道標がなく、育成の方向性も上司によってバラバラになります。育成の目的である「どんな状態を目指すのか」が上司と部下の間で共有されていないため、組織として一貫した人材育成ができなくなります。その結果、優秀な人材ほど先が見えないことへの不満を抱え、組織を去っていくという悪循環が生まれます。


支援現場から見えた:等級基準で変わった会社の実例

事例A:昇格・昇給が上司の印象で決まっていた

若手や中堅層が徐々に育ってきた時期に、役割や報酬に対する不満が表面化し始めていた会社です。現場では評価の基準が曖昧で、昇格や昇給が「上司の印象で決まる」という不透明な運用が長年続いていました。経営層も「属人的な感覚で処遇を決めていては、組織が大きくなったときに支障が出る」という危機感を持っていましたが、どこから手をつければいいかわからない状態でした。

支援では、まず人事ポリシーの言語化からスタートし、職種ごとの特性に合わせた等級基準を整備しました。「何ができればどこまで昇格できるか」が見える仕組みをつくり、評価面談が育成の機会として機能するよう設計しました。

支援後、この会社では「等級・評価・処遇の関係性が明確になり、納得感が生まれた」「目指すキャリア像が共有され、社員の成長意欲が高まった」「管理職が評価する責任を理解し、前向きに関わる姿勢が見られるようになった」という変化が生まれました。担当者からは「制度の仕組みを整えるというのは、単にルールを決めることではなく、会社の価値観を可視化して社員と共有するプロセスだったのだと実感しました」という言葉をいただいています。

事例B:制度はあったが等級の定義が曖昧で形骸化していた

一定の制度は存在していたものの、等級の定義や評価基準が曖昧で、実際の運用は担当者任せになっていた会社です。社員からは「なぜ昇給したのか説明がない」「評価は毎年なんとなく終わっている」という声が出ており、制度が「形だけ」になっている状態でした。経営層も「制度を整えたつもりが、全く活用されていない」「中堅が育たず、若手が辞めていく兆候がある」と危機感を抱いていました。

支援では、まず現場ヒアリングを通じて制度運用上のボトルネックを洗い出し、「等級・評価・処遇がつながる設計」に抜本的な見直しを実施しました。人事ポリシーを明文化し、等級制度では役職だけでなく「価値提供のレベルに応じた期待」を整理することで、全社員がキャリアのステップを意識できるようにしました。

支援後、「等級・評価・報酬が連動した設計で、納得感が生まれた」「中堅層の成長意欲が見られるようになり、定着率も改善した」という変化が生まれています。担当者からは「制度の構造を見直し、等級と評価と処遇がつながる設計にしたことで、組織の筋肉が整った実感がある。ようやく制度が使えるものとして社内に根づき始めた」という声をいただいています。

2つの事例に共通すること

この2つの事例に共通しているのは、「問題の根本原因が制度の精度ではなく、等級基準の欠如・形骸化にあった」という点です。

事例Aは等級基準がない状態、事例Bは等級基準はあるが形骸化している状態——出発点は異なりますが、どちらも「等級基準という共通の判断軸がない」という点では同じ問題を抱えていました。そしてどちらの会社も、等級基準を整備・再整備することで、評価・給与・育成のすべてに一貫性と納得感が生まれています。

等級基準は、つくるだけでは意味がありません。管理職を含む全員が共通の判断軸として理解し、評価のたびに参照し続けることで初めて機能します。この点が、制度を「形だけのもの」にしないための核心です。


機能する等級基準をつくるために、最初にやること

等級基準の重要性はわかった。では、実際にどこから始めればいいのか。ここでは、機能する等級基準をつくるための4つのステップをお伝えします。既に制度がある会社も、これからつくる会社も、まずはこの順番を意識することが大切です。

Step1:人事ポリシーを出発点にする

等級基準は、人事ポリシーを体現するために作成するものです。「この会社では社員にこうあってほしい」という人事ポリシーの考え方が、等級基準の内容の根拠になります。第1回で人事ポリシーをすでに整えた会社は、ここからスタートできます。まだ整えていない会社は、等級基準の設計に入る前に、まず人事ポリシーの言語化に取り組むことが先決です。

Step2:等級フレーム(概要)を先に固める

等級基準の詳細に入る前に、まず「何等級制にするか」という等級の数を決めることから始めます。会社の規模・組織構造・役割の階層をもとに、何段階のレベル分けが自社に適しているかを検討します。

このとき重要なのが、等級の数を増やしすぎないことです。等級の数が多くなるほど、隣り合う等級同士の差異がわかりづらくなります。「1つ上の等級と何が違うのか」「1つ下の等級と何が違うのか」が社員に明確に認識できる程度に言語化できているかどうか——これが等級フレーム設計の最大のポイントです。

等級の数が決まったら、各等級の役割の概要——誰の監督のもと、何を、どの範囲で担うか——を整理していきます。この段階では詳細な行動基準はまだ決めなくてよい。「何等級制にするか」「各等級の役割の段差をどう設けるか」を明確にすることに集中してください。

Step3:等級ごとの能力・役割・行動基準を落とし込む

等級フレームが固まったら、各等級で具体的に何が求められるかを詳細に記述していきます。この詳細が、評価シートの項目に直接つながります。「その等級の社員は、実際の業務の中でどのような行動をとれていることが期待されるのか」を具体的な言葉で表現することが大切です。抽象的すぎると評価の判断基準として機能しません。会社として社員に何を期待するのかを、明確に言葉として示すことを意識してください。

Step4:全社で共有し、評価制度・賃金制度と接続する

等級基準は作って終わりではありません。管理職を含む全員が内容を理解し、評価のたびに参照することで初めて機能します。特に管理職が等級基準を正しく理解していることが前提となります。管理職が基準を理解していなければ、評価の根拠が曖昧になり、育成の方向性が統一されず、せっかく整備した等級基準も再び形骸化の道をたどります。制度説明会や評価者研修の場を活用して、繰り返し共有し続けることが重要です。

人事制度の肝は「評価そのもの」ではなく「評価の前提となる基準づくり」です。等級基準という土台があって初めて、評価・給与・育成のすべてが一貫した形で機能します。


まとめ・次回予告

等級基準は、人事制度を構成する要素のひとつでありながら、評価・給与・育成すべての判断根拠となる「人事制度の中心軸」です。今回の内容を改めて整理します。

① 等級基準は「人事ポリシー→等級フレーム→等級基準」という3層構造で成り立っている。 人事ポリシーを出発点とし、等級フレームで役割の概要を定め、等級基準で各等級の能力・行動基準を詳細に落とし込む。この順番が機能する等級基準をつくるための原則です。

② 社員の「なぜ?」は、すべて等級基準にたどり着く。 給与の差・評価シートの違い・同じ成果でも評価が異なる理由・昇格できない理由——これらすべての問いに答えられるのが等級基準です。等級基準があることで、制度への説明責任を果たすことができます。

③ 既存制度の改定支援では、ほぼ100%等級基準が活かせていない。 制度はあっても使われていない、等級の定義が曖昧なまま運用だけが続いている——こうした状態が形骸化の典型です。形骸化の根本原因は「判断の基準が共有されていないこと」にあります。

④ 等級基準がない・形骸化している組織には、4つの弊害が生まれる。 評価が上司の印象で決まる、「なぜ?」に答えられない、適切なフィードバックができず行動変容につながらない、優秀な人から辞めていく——この4つが連鎖することで、制度への不信感が組織全体に広がっていきます。

⑤ 等級基準は「つくること」より「使い続けること」が重要。 管理職が内容を理解し、評価のたびに参照し続けることで初めて機能します。人事制度の肝は評価ではなく、評価の前提となる基準づくりです。

今の制度に「なんとなくうまくいっていない」という感覚があるとしたら、まず等級基準に立ち返ってみてください。そこに答えが隠れているかもしれません。もし自社の等級基準の整備や、既存制度の見直しにお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください。


次回予告|第3回:評価制度

次回は、等級基準と深くつながる「評価制度」について詳しく解説します。評価制度とは何か、評価の種類と処遇との関係、そして評価制度が形骸化しないための運用のポイントとは。等級基準との接続を踏まえながら、丁寧にお伝えします。

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